どんなカメラでも“ジャイロ補正”が可能に?Senseflow A1とGyroflowで手ぶれ補正の未来を見る

当レビュー記事は上記の動画のブログ補足版です。

まるで三脚で固定したように滑らかな映像を見せてくれたのは、外付けの小さなセンサー Senseflow A1
SonyでもBlackmagicでもない、どんなカメラでも“ジャイロ補正”を可能にするというこのデバイス。

本記事では、その仕組みと実際の効果をレビューします。三脚やジンバルを使用しない手振れ補正について検討中の方にお役に立てればと思います!

ジャイロ補正とは?

ジャイロセンサーの基本

ジャイロセンサーとは、カメラの回転や傾きをリアルタイムで検出し、角速度(回転の速さ)を数値化して記録するセンサーです。
このデータをもとに、撮影後に映像を安定化させるのが “ジャイロベースの手ぶれ補正”です

Sonyの Catalyst Browse / Prepare、はSony純正の手振れ補正ツール。(本当は手振れ補正以外にも色々機能があるけど。)。年間2万円程度かかるのと、UIがあんまり洗練されていない印象です。
今回紹介する Gyroflow は無料でジャイロデータを扱えるのと、Sony内部で記録されたジャイロデータも扱えます。

Sonyの内部ジャイロの制約

Sonyカメラは撮影と同時にジャイロデータを自動で記録しますが、

  • 120fps/240fps/S&Qモードなどの高フレームレートでは非対応

  • 一部の圧縮方式ではデータが記録されない(という噂)

といった制約があります。
※手持ちのZV-E1で確認した限りでは、4K60fpsであればすべてのコーデックでジャイロが記録されていました。


ここに登場するのが、どんなカメラでも利用できる外付けジャイロ「Senseflow A1」です。

Senseflow A1とは?

Niyienというメーカーが販売する外付けジャイロセンサーで、ネット上でもほとんど情報が見つからない謎の機材。
実際に購入して試したところ、次のような特徴がありました。

  • サイズは小型のレコーダー程度

  • カメラのホット/コールドシューに付けて使用

  • ボタン操作で角速度を記録

そして、このデータを Gyroflow に読み込むことで、カメラとは独立した手ぶれ補正が行えます。

Gyroflowとは?

Gyroflowはオープンソースの無料ソフトで、
「映像+動きのログ」からカメラの動きを再構築し、ブレを物理的に打ち消します。

一般的なスタビライザーが“映像の動きを解析して補正する”のに対し、
Gyroflowは“実際に記録された動き”を使って補正するため、より自然な安定感が得られます。

Sonyの内部ジャイロデータにも、Senseflow A1の外部データにも対応しており、
事実上 どんなカメラでもジャイロ補正が可能 になります。

Gyroflow NiYien-A1 対応ページ
https://docs.gyroflow.xyz/app/advanced-usage/using-external-gyro-source/niyien-a1

LUMIX S1RIIでの検証

CHIRO-Labで使用したのはLUMIX S1RII。
以下の比較し、Lumixの手振れ補正 vs Gyroflowでの補正結果を比較したところ、
最も良い結果を残せたのは下記の補正方法でした。

テスト内容 ベストな補正方法 備考
歩き撮り Gyroflow 揺れの上下動が大幅軽減
パン撮影 Gyroflow わずかなカクつきが残る
望遠FIX撮影 Lumix電子手振れ補正 三脚のような安定感
クローズアップ Lumix電子手振れ補正 被写体距離変化でやや不自然

結果として、パンや歩行シーンではGyroflowが圧倒的に滑らかでした。
一方でクローズアップやマクロ寄りの撮影では、健闘しているものの、画角を固定させる撮影方法においてはLumix本体による電子手振れ補正の方が優れている印象です。
ただし、カメラを少しでも動かす場合はジャイロによる補正の方が滑らかになると思います。例えば流し撮り動画を作成する場合などです。

DaVinci Resolveの解析型スタビライズと併用すると、非常に自然な補正結果が得られました。つまり 「物理×解析」ハイブリッド補正 が最も現実的です。

まとめ:手ぶれ補正の“第三の選択肢”

Senseflow A1+Gyroflowの補正は確かに強力でした。
特にパンや歩行時の滑らかさは、カメラ内補正よりも優れています。

ただしデメリットもあります。

  • クロップによる画質低下
        動画を安定させるために映像をクロップするので当然画質が落ちます。
        高品質な4K動画を作成する場合は5K以上の解像度で撮影する必要があります。
        別に画質を気にしないのであればOKです。

  • データ同期の手間
       数本であれば楽ですが、動画の本数が多くなると意外と手間です。

  • 記録ミス時のリスク
       A1のスイッチを入れ忘れるともうアウトなので注意です。
       あと三脚撮影している場合はジャイロデータと動画の同期が上手く行かないケースがありました。

それでも、カメラに手ぶれ補正がない場合や、Sony/BMPCC以外のユーザーにとっては魅力的な選択肢だと思います。

どんなカメラでも手ぶれ補正を可能にする。
Senseflow A1は、確かに“効く”外付けジャイロであるというのが私の感想です。

反響あれば、実際に NiYien tool, Gyroflowを使って映像を安定化する手順 を紹介予定です。
動画とジャイロデータの同期方法について徹底解説します。


「どんなカメラでもGyroflowで手ぶれ補正できる」というのは半信半疑でしたが、
実際に試してみると、外付けセンサーの精度には驚かされました。
“物理ベースの安定化”を行いたい人には、Senseflow A1は間違いなく試す価値があります。特に特殊機材を用意するお金や時間の無い撮影現場でも役に立つ可能性があるかなと思いました。ぜひ選択肢の一つとして検討してみてください。


※当記事および動画は一切のスポンサーを頂いていません。


執筆:キリン@CHIRO-Lab
動画リンク: YouTubeチャンネルはこちら