※当記事は上記レビュー動画のブログ版です
ありがとうSIGMAさん。
20-200mm F3.5-6.3 DG Contemporary感謝のレビュー
Sigma 20-200 mm F3.5-6.3。
広角20 mmから望遠200 mmまでを1本でカバーする高倍率ズーム。
このサイトに行きついたということは、すでにこのレンズについてはかなり調べている方だと思います。概要については他サイトさんにお任せするとして、このページでは解像性能、撮影倍率、F値の変動についてまとめてみました。どちらかというと、既にこのレンズを持っている方向けの保存版ページとも言えると思っています。
1.解像性能 ― スイートスポットは意外な場所に
検証では、屋外光下で撮影した4K 60 P Long GOP映像を静止画に切り出し、Imatestで解析しました。
圧縮素材を扱う以上、結果は相対評価にとどまります…。All Intraで撮影し直そうかとも思いましたが、傾向を見るのであれば問題ないと判断しました。(あまり手間をかけると面倒になって動画作成自体をボツにしてきた経験が何度もありまして🙏…)
結果をヒートマップ化してみると、24〜28 mm付近、85 mm、200 mmが高解像でした。
横軸が焦点距離、縦軸がF値、各四角の色が濃いほど解像性能が高いことを指しています。左の青いグラフがレンズの中央部、右のオレンジのグラフがレンズの周辺部を検証した結果です。
レンズは中央部分ほど解像が高い = 細部の描写に優れていますので、周辺部よりも数値が高く出ますし、このレンズも例外ではありません。よくあるレンズの評価に、「周辺部まで解像している」という評価を見たことがあると思いますが、あまり品質がよくない昔レンズですと、中央部だけ良くて、周辺部はボケているのか解像が悪いのか分からないくらい描写がボヤっとしていることがありました。
特に24〜28 mmは開放からシャープで、F値を上げるとむしろわずかに低下する不思議な特性が見られました。何か撮影方法を間違ってしまったのか?太陽光などが影響したのかなとも思いましたが、同一焦点距離においては傾向的には矛盾していないのでそのまま公表することにしました。(極端に高い/低い外れ値は除外して分析しています)
一方で35 mmと135 mmでは明確な谷があり、設計上の収差補正や内部群の移動特性が影響しているのかもしれないなと思いました。
便利ズームは望遠側が甘くなりがちと思っていたのですが、このレンズでは200 mmでも十分実用レベルかと思います。
開放で使っても安心できる、SIGMAらしい芯のある描写です。
↑ こちらはLumix S24-105mmとの24mm同士での比較結果。
左がシグマで右がLuimxです。
LumixもF5.6が一番解像しているようなんですよね…🥺なぜだろう…
YoutubeではSigmaの方が良さそうとコメントしていますたが、Lumixの方が安定して良い解像を出しているようにも見えます。甲乙つけがたいという感じですね。
その場合、Sigma20-200mmの方がズーム倍率が高いのにこの解像を出しているというのが驚きですよね。

↑ そしてこちらがLumix S70-300mmとの比較。
左がSigmaで右がLumixです。85mm, 200mmそれぞれ比較しました。
全体的にSigmaの方が解像しているようです。Lumix70-300はあまり解像良くないのかも…?
ただ85mm,200mmは、Lumix70-300mmにとって中途半端な望遠域であるという原因で解像感が落ちているのかなという仮説を持っています。70-300mmが具体的にどのような思想で設計されているのかは分からないのですが、もうちょっと焦点距離を刻んで解像性能を測ったらそれが分かるかもしれませんね。
↑ Sigma150-600mmとの比較です。
中心部は20-200mmが強いものの、周辺部は150-600mmが良い感じですね。
これも200mmは中途半端な焦点距離だからこのような結果になったのでは?という気がしないでもありませんが、あまり確定的なことは言えません。150mm同士で比べたらもっと違う結果になっていたかもしれませんね。
そういった声がたくさんありましたら検証してみたいと思ってます
2.F値の変動 ― 前半急降下型カーブ
F3.5-6.3 の可変開放である当レンズ。
ズームを延ばしていくと20mmから200mmに向かって緩やかにF値が上がるのかと思いきや、実測すると前半で一気にF値が上昇することが分かりました。
おおよそ 85 mm 付近で F6.1 に到達し、その後はほぼ横ばいでした。
横軸が焦点距離、縦軸がF値です。
「もう少し粘ってほしかった」という気持ちはありますが、
軽量化と価格を両立させた結果だと考えれば納得がいきます。
20 mm F3.5 から 25 mm で F4 を超えるため、
露出をシビアに合わせたい動画撮影ではやや注意が必要だと思います。
とはいえ10倍ズームでこの明るさなら、代償としては最小限かと。
持ち歩ける利便性こそが、このレンズの設計思想なのだと思います。
ただやっぱり夜は光源のある室内でもちょっとキツいかなという印象。
3.寄り性能 ― “便利ズームの皮をかぶったマクロ”
最大撮影倍率は 0.5 倍。
ただ、それは焦点距離28 mm 〜 85 mm の間だけです。
最短撮影距離を計測したところ、実測では 20 mm で約 23 cm、 28 mm で最短距離を記録し、85 mm 以降は徐々に撮影距離が伸びていきます。(当たり前)
比較すると、TAMRON 28-200 mm は 0.32 倍、
同社 50-400 mm は ワイド端のみ 0.5 倍などです。
Lumix 24-105 mm Macro O.I.S. などのレンズも 0.5 倍ですが、それらも一部の焦点距離のみ。
また、ライカLマウントで見ると便利ズームは競合が少なく、Sigma 20-200 mm はほぼ独壇場といっていいかなと思います。
実際の撮影でも、フードが触れるほど寄れる場面があり、
“標準ズームの途中でそのままマクロ撮影へ移行できる”便利さは想像以上でした。
寄り好きの撮影者にはたまらない一本。僕は寄るのが大好きです。
公式ホームページでも公表されていない、28-85mm以外の最大撮影倍率を計測してみたところ以下のようになりました。
28mmを0.5倍と仮定した場合の相対的な計測値になります…!詳細は動画で。
広角端の20mmでは0.2倍を下回るかなという感じ。
85mm以降はゆるやかに撮影倍率が減って、最終的には0.3倍程度になりますので
望遠側は「そこそこ寄れる」くらいのレンズかなと思います。
4.ポートレート性能 ― 柔らかい立ち上がりと静かなボケ
20 mmでは環境を取り込み、35 mmでは少し絞ったためボケは控えめ、
そして200 mm F7.1 では背景が心地よく溶けました。
ボケは滑らかで、前ボケ後ボケとも騒がしくない。
AFも違和感なく、手ぶれ補正非搭載ながら動画でも十分扱えます。
軽さと画角の自由度を考えると、旅行・日常スナップ・Vlog的ポートレートに理想的だと思いました。
↑ イトトンボ
5.全体的な所感と欠点 ― 感謝と少しの欠点
このレンズの魅力は「気軽に持ち出せる本気レンズ」。
20 mm から 200 mm を1本で済ませられることは、撮影体験そのものを変えられますね。
ちょっとしたお出かけでは他のレンズの出番が激減してしまいました。ただ例えば夕方以降に友人と食事をするなどのシチュエーションでは高いF値が足かせとなって、シャッタースピードを下げざるを得ない状況に陥りがちですね。
その他の欠点としては
-
外観は細身だが意外と長い。収納時の存在感は大きい。
最短の長さですが、手持ちの中ではLumix S24-105より少し短いくらいですので、
そこそこの長さがあります。 -
ズームリングの回転方向が逆で、LumixやSonyとの併用では混乱する。
このレンズを常用するになってから、あわててズームしようとした時にリングの回転方向を間違えるようになってしまいました…このレンズを使用しない時も同様ですね。他社リングと併用している限り、慣れるのは難しそうです。 -
トルクが重いため、滑らかなズームワークは苦手。
このレンズはゆっくりズームする動作が苦手ですので、動画撮影にズームするとガクっと焦点距離が変わります。もう2か月以上使用していますが、緩くならなそうですねこれ。
それでも、これほど万能で、寄れて、軽い高倍率ズームは稀だとおもいます。
解像・携行性・価格の三拍子をここまで高次元でまとめたSIGMAさんには
“ありがとう”という言葉以外に見つかりません🙏
結論
Sigma 20-200 mm F3.5-6.3 は、
「便利ズーム」の名を冠しながら、そのイメージを塗り替える一本でした。
広角でも望遠でも破綻せず、マクロ域まで踏み込める柔軟さ。
それをLマウントで実現した意義は大きいと思います。
検証の労力は相当でしたが、その過程で感じたのは単純な感謝です🙏
撮る者に“もう1本持たなくても大丈夫”と安心させてくれる、
そんなレンズを作ってくれたSIGMAに敬意を込めて…。